庇と軒のお話し

Be-WILL Design

建築家 松田 英之

(一級建築士、一級建築施工管理技士)

ベルハウジングのお家はちょっと背が低くて、どっしりとしたシャープな屋根が特徴です。

「なんか、ベルのお家はかっこいいよね」とお客様からうれしいお声をいただきますが

カッコよさの秘密の一つ。庇と軒のこだわりについてご紹介します。


 

ベルハウジングのお家は機能についてしっかり考えてデザインしています。

鹿児島はとても雨が多い気候。地域の住宅メーカーだからこそ、地域性に対応するためのあらゆる手段を考え、設計に反映しています。

庇は部屋との中と外を繋ぐ中間域。空間の余白です。適切な長さの庇をつくることで「雨が降っても窓を開けることができるという価値観を持たせることができます。

「雨の日もいいね」と匂いや音を愉しむゆとりが、豊かな暮らしにつながると考えています。

ファイル 2016-04-30 16 05 02
全開口サッシを開け、春雨を楽しむリビング。(リクシルメンバーズコンテスト大賞事例、霧島山荘)

※機能性として雨以外に考慮することとは…

庇は、火山灰対策にとても有効と考えています。そして夏の暑さ対策。

大きな庇を付けることで夏の厳しい日差しを遮り、冬の高度の低い日光を遮り、冬の高度の低い日光を取り組むことができます。(鹿児島の夏至の太陽高度81度、春分秋分54度、冬至30度となっており54度から81度程の角度から入る日差しを遮ると快適に過ごすことができる)

お家の中に入る日差しを選ぶということは、住まいの省エネルギーにも効果的と考えます。

電力を使用し、エアコンだけで快適性を求める時代ではありません。

居心地が良く、かつ地球環境にやさしい「環境共生住宅」を作る為には、太陽と上手に付き合う方法を考えることが何よりも大切です。夏の日差しからくる暑さを効果的に和らげる方法が「日陰」をつくることです。日陰を作る為に庇、軒は重要な役割を担います。逆に、冬は日光を取り入れることができなければ快適な空間は造れません。「遮る」と「取り込む」という真逆の様相を実現させるためには、やはり鹿児島にくらし、日ごろから試行錯誤する必要があるのです。庇だけでなく、建物のカタチや樹木などを活用することで日差しをコントロールすることもあります。

 

※機能的=(イコール)スタイリッシュになるのはなぜか?

程よい大きさの庇は建物に陰影を付け、奥行きを感じ、豊かな表情を映しだします。がランスのとれた美しい影が建物に表情を与えるのです。ディティール校正をシンプルにし、薄く見れる工夫に加え、敷地や環境に応じてバランスよく配置することが重要です。単に庇をつくるのではなく、陰影を計算して設計しているのです。

そして、美観を感じられるひとつに「雨樋が目立たない」という理由もあります。

樋の取り回しにも、もちろん配慮しているのですが、加えて、隠す樋と見せる樋をはっきりさせることがデザイン的に重要だと考えています。

見せる樋はできるだけシンプルに。屋根と軒との水平ラインをより美しく見せるように配置します。水平ラインは建物に美しいバランスを生み、建物全体の印象につながります。

樋を隠す場合、壁で隠す方法を撮ります。樋の小口を見せないように袖壁を設け、建物の「顔」から樋が見えない工夫をします。

ひと工夫加えることで横のラインや縦樋の縦のライン樋の小口を消し、外壁を美しい面として見せることができます。

建物を美しく見せる為にはラインを伸ばす、止める、切らない工夫が必要です。とはいえ、そのラインを強調しすぎても美しくはなりません。簡単に見えて実はしっかりとしたディティール構成を確率させ、今までの経験の積み重ねで体得した繊細な技法なのです。シンプルなほど難しいのだと感じています。